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2020.10.14

ユートピアの倶楽部

東京芸術大学で「藝大コレクション展2020」が開催されていました。「鮭」「悲母観音」「序の舞」など意外な名品が出展されているので見て損はない展示です。やはり建築部門は少な目で、ファンタネージによる建築装飾の素描など。
公式サイト(10月25日まで)
Kana 金澤庸治の卒業制作「ユートピアの倶楽部」(1924年)のパース図、断面図などが出ていました。
金澤は1900年(明治33年)生まれで、1919年に東京美術学校図案科第二部予備科へ入学。1924年3月に同校建築科を卒業しています。岡田信一郎(当時、東京美術学校建築科主任)の教え子ということになります。

美術学校では、図案科第二部から建築科に体制が変わったのが1923年5月で、金澤は建築科卒業生の第一号です(この年の「建築科卒業生」は金澤ただ1人。吉田五十八も同じ年の卒業ですが、病気で留年していたため、図案科第二部卒業ということになっています)。
「ユートピアの倶楽部」は大正期の表現主義建築の一例としてしばしば紹介されます。
以前は筆者(私)も、その名のとおり「空想的」「若気の至り」の作だろうと考えていたのですが、単なるデザインの面白さだけでは卒業制作の審査を通らなかったはず?、と疑問を持ちました。特に建築科に改組したばかりのことでもあり、岡田信一郎も金澤に期待をかけていたはずです。
Kana2岡田はかつて分離派建築会の展覧会に際して「構造の軽視の傾向が著しく目についた(略)構造の研究が充分でなく、且 構造を芸術味の基礎とする努力をしなかったことを残念に思ふ」(建築雑誌406号、1920.9)と批判していました。
金澤の作についても構造的な裏付けがなければ岡田は評価しなかったはずですが、素人にはちょっと判断が付きません。
専門家の視点で金澤の作品が、構造的、機能的にどう評価できるのか。聞いてみたいものだと思います。
(画像は「日本の表現主義展」図録(2009年)より引用)

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