« 謹賀新年2020年 | トップページ | OSN132三井本館と明治生命館2 »

2020.01.04

OSN131三井本館と明治生命館

Mituiimg_1410 Meijip1010413
三井本館と明治生命館は、共に昭和初期に建てられた古典様式のオフィスビルである。コリント式の円柱を並べたデザインは元をたどれば古代ギリシアの神殿建築に由来するが、建設当時(20世紀初め)アメリカで流行していたスタイルでもある。

19世紀後半から20世紀前半にかけて、アメリカの建築界はフランスのエコール・デ・ボザール(アカデミーの芸術学校)から多大な影響を受けていた。ボザールで建築を学んだアメリカ人建築家が建築界をリードし、またボザールから招いた教授たちがアメリカの大学で建築教育を行っていた。フランス流の古典様式に基づいて建てられたアメリカ建築は、アメリカン・ボザールと呼ばれている。

日本の建築界も高層建築をはじめアメリカから多くのものを学んだ。アメリカン・ボザールのデザインを採り入れたオフィスビルも数多く建てられたが、中でも三井本館と明治生命館は双璧と言えるであろう。
三井本館はアメリカの設計事務所(トロブリッジ&リビングストン社)による作品で1929年(昭和4年)の竣工、明治生命館は岡田信一郎の設計によるもので1934年(昭和9年)の竣工と、5年の差がある。

そうすると明治生命館は三井本館に追随しただけなのであろうか。
私(筆者)はたまたま谷口吉郎の『雪あかり日記』を読んでいたのだが、ベルリンを訪れた谷口が19世紀の建築家シンケルの作品(無名戦士の廟)に深い感銘を受けるシーンがある。

二十世紀の合理主義建築の理論からいえば、この建築は擬古主義の様式として古いギリシャの様式をそのまま模倣し、風土の全くちがった異国の様式をそのまま輸入したものであった。(略)だが、そのギリシャの模倣から、不思議にも、ドイツの魂がこんこんと湧出する。それは何によるか。

三井本館や明治生命館も言ってみれば古代建築の模倣であるが、そこに20世紀アメリカや日本の魂が表現されているのであろうか。
話が面倒になるのでその辺は後日の宿題にするとして、ここでは両者のデザインやプランを比較してみることにする。以前の項でもふれたように、岡田は明治生命館の設計にあたって、三井本館を意識しつつ、それを凌駕することを目指していたのであるから、まずは両者にどういった違いがあるのか、確認しておきたい。

(参考資料)『三井本館』(1989)、『図面で見る都市建築の昭和』(1998)、『図録明治生命館』(2006)、岡田信一郎・岡田捷五郎建築設計図原図集成

|

« 謹賀新年2020年 | トップページ | OSN132三井本館と明治生命館2 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 謹賀新年2020年 | トップページ | OSN132三井本館と明治生命館2 »