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2011.12.04

OSN037日本銀行小樽支店

岡田が関与した建築で最北端にあるのは日銀小樽支店であろう。現在は金融資料館になっている。
公式サイト
建物自体については、駒木定正氏が「日本銀行小樽支店(明治45年)の設計者について―辰野金吾・長野宇平治・岡田信一郎・小林懋」 (2003)など一連の研究を発表していて、特に付け加えることはない。

駒木論文をはじめ諸文献を参照し、岡田信一郎との関わりをまとめておきたい。

○日本銀行小樽支店は1909年(明治42年)7月着工、1912年(明治45年)7月竣工。約3年の歳月をかけて建設された。
「建築雑誌」の紹介記事では設計は辰野金吾、長野宇平治、岡田の連名になっている。長野は日本銀行臨時建築部技師であり、辰野は顧問、岡田は嘱託、という関係である。
長野は後に、次のように書いている。

辰野博士は(略)工事顧問の名義で勤めて居られ1週2回位出勤して居られたが、実際には臨時建築部の設計監督の事務から人事上のことまで統率しておられた、明治42年7月起工、明治45年7月落成の日本銀行小樽支店の新築の設計の為めに岡田氏は日本銀行へ勤められることになつたのである

日本銀行小樽支店の建築は辰野金吾、長野宇平治、岡田信一郎3人の合同設計のことになつて居る、3人の中で辰野氏は始めの企画から施工に至るまで全体を統率せられ、余は基本設計をなし、岡田氏は此基本設計に依りて実施設計から施工図に至るまでを担当せられた。

○長野宇平治は地鎮祭(1909年8月)、上棟式(1910年11月)に出席したほか、年に3-4回、工事現場を見に来たという。
(小樽に常駐ではなく、東京で設計を行っていた訳である)

○岡田が日本銀行の嘱託を兼ねた期間は、小樽支店着工の前年1908年3月から、1911年12月までである(東京芸術大学百年史P535)。
岡田は1906年に大学を卒業し、当時は東京美術学校嘱託であった。

○先の引用で「基本設計」は長野ということだが、岡田も設計者に名を連ねていることから推測すると、細部の意匠などに岡田のデザインも相当入っているのではないか。
岡田にとっては(警視庁での経験に続いて)、辰野金吾の指導のもと、設計実務の腕を磨く場であった。

○(以前の「岡田と洋行」で少しふれたが)1909年8月には、大学を卒業したばかりの奥村精一郎が日本銀行の雇となり、同年12月に技師に昇任した。岡田は洋行が決まりながらも病気療養をすることになったので、代わって奥村が採用されたのだろう。

○岡田は1910年初めには病気から回復したようだが、小樽支店は既に着工しているし、奥村が後任になっていたので、仕事量はそれほど多くなかったかもしれない。
岡田が日本銀行の嘱託を解かれたのは1911年12月で、まだ小樽支店の建設工事は続いていたが、既に工事の目途も立っていたのだろう(翌年7月竣工)。また、(美術学校に加えて)早稲田大学でも教壇に立つようになり、忙しくなったことも一因だろう(1911年2月に講師、1912年1月、教授に就任した)。

岡田が工事中、あるいは竣工してから、実際に小樽支店を見たのだろうか、というのが謎である。(見ていないかも…)

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コメント

日銀の貨幣博物館(日本橋)で「明治期の日本銀行支店建築 建築家 辰野金吾・長野宇平治」の展示があるそうですね。2012年1月15日(日)まで。
http://www.imes.boj.or.jp/cm/htmls/index.htm

投稿: 通行人 | 2011.12.23 10:44

小樽の金融資料館(旧日銀小樽)で12月~3月まで「日銀支店建築と建築家 辰野金吾・長野宇平治」の展示をやっているので、見に行こうかと思っていたんですが、東京と同じ内容でしょうか。
http://otaru-journal.com/2011/12/1221-2.php
望楼ツアーに当たったら両方見ようか…

投稿: 岡田ファン | 2011.12.24 01:23

http://www.hokkaido-np.co.jp:80/news/donai/372835.html

現在、工事中とのことです。

(引用)日銀旧小樽支店(色内1)の大規模な改修工事が本格化している。建物を巨大な仮屋根がすっぽりと覆い、市民や観光客が珍しそうに見上げている。(略)建設から1世紀を経て、老朽化による建物全体の傷みが目立ってきたため改修を決めた。<北海道新聞5月17日朝刊掲載>(写真あり)

投稿: 岡田ファン | 2012.05.20 12:41

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